デンタルニュース

(平成29年10月号)

人は言葉を使って、考えや思いを相手とやり取りします。それに加えて、笑顔、驚き、舌打ち、口をとがらせるといった人間らしい表情を使って気持ちを伝えることもできます。この感情表現は、顔面にある30種類以上の表情筋という筋肉によるものです。身体の筋肉は骨と骨を結んでいますが、表情筋は骨と皮膚に付着しているため、細かな表情を作り出すことができます。そしてその中心となる最も重要な筋肉が唇の周囲にある口輪筋(こうりんきん)です。感情表現もまた、"食べること"、"会話すること"と同じように、社会生活を営む上でとても重要な機能です。今月は『口腔機能を向上させる訓練方法④』として、感情表現の訓練をご紹介したいと思います。

口輪筋がポイント

口輪筋は唇を取り囲む筋肉の事で、口をとがらせたりすぼめたりする(口唇閉鎖機能)時に使います。たくさんの表情筋が口輪筋から放射状に伸びていて、口輪筋を動かすことで顔の筋肉の8割が動きます。逆に口輪筋が弱くなると周囲の表情筋の動きが低下して表情が乏しくなります。口唇閉鎖機能は、表情を作るだけでなく構音(発声)でも重要な役割を担っています。普段意識して動かすことが少なく、加齢とともに衰えてしまいます。男性では60歳、女性では70歳から著しく口輪筋の筋力が低下すると言われていて口角が下がってくるのもそのためです。口唇閉鎖が低下する主な原因は、廃用による筋力低下か、あるいは脳血管障害やパーキンソン症等の中枢性の顔面神経麻痺によるものです。使わなくなれば、それだけ廃用性萎縮が進みますから、口輪筋を鍛えて口腔機能の維持向上を目指す必要があります。

口輪筋のトレーニング方法


〈パタカラ装置〉

元々は低下した摂食嚥下機能や構音機能を改善するために開発された医療用具ですが、TVの情報番組で美容器具として取り上げられたことで知名度が上がりました。口輪筋や表情筋のトレーニングを効果的に行えます。

〈ボタンを使った訓練〉


①20㎝位のひもを通したボタンを用意します
②ボタンを前歯と唇の間にはさみ3秒間、ひもを引っ張りながら、ボタンが飛び出さないように唇を強く閉じます
③これを5〜10回繰り返します。

▲このページの先頭へ