デンタルニュース

(平成25年2月号)

先日患者様から「入れ歯洗浄剤は使ったほうがいいの?」と聞かれました。入れ歯は湾曲した複雑な形をしているので、ブラシだけでは落としきれない汚れが残ります。入れ歯に付く主な汚れは4種類あります。まずは①食べカス。主にたんぱく質、炭水化物、脂肪です。この食べカスをもとに入れ歯の表面にある無数の小さな穴の中で②細菌・カビが繁殖します。そしてこれら細菌が固まって③歯石を作ります。またお茶類の④茶渋(ステイン)もブラシでは落ちません。これらの汚れには、やはり入れ歯洗浄剤の使用が欠かせません。
そこで今月は、『入れ歯洗浄剤』についての情報をお届けしたいと思います。

落ちにくい汚れを落とす洗浄剤

入れ歯に付着した細菌・カビの繁殖は炎症、口臭、誤嚥性肺炎の原因となるので、入れ歯は毎日きれいに洗う必要があります。現在市販されている入れ歯洗浄剤は上記①~④の汚れを落とす成分が配合されています。それでは汚れを落とす成分について簡単に特徴を説明していきましょう。

漂白剤

着色を落とす目的で、衣類の洗濯や台所で一般的に幅広く使用されています。漂白効果の他に殺菌効果も大変優れていることから、入れ歯洗浄剤の主成分として配合されています。漂白剤には金属が変色する種類もあるので部分入れ歯や金属がある入れ歯に使用できる商品かどうか、よく注意してください。

酵素

食べカスなどの蛋白質を分解する効果のある成分です。細菌の抑制とそれに伴う臭いの抑制を目的とします。

界面活性剤

水洗いでは落ちない油汚れを落とす石鹸成分です。

歯石防止剤

歯石の付着を抑える効果があります。

【使用方法】
1日1回就寝前、入れ歯洗浄液に浸けて一晩置くという使い方が高い洗浄効果を得られ、無駄なく経済的です。お出かけ前など急いで洗浄したい時は、ぬるま湯を使用して下さい。発泡成分によって洗浄剤が早く溶け、短時間でもきれいに汚れを落とせます。(注:食後はブラシで水洗いして下さい)
【注意点】
入れ歯の洗浄には専用の容器を使用して下さい。コップに入れ歯洗浄剤をいれると、色がきれいで炭酸飲料水のように見えるので、子供や判断力の低下した方が誤飲する危険があります。また入れ歯の修理に用いる弾力性のある調整材は一部の洗浄剤で劣化することがあるので歯科医師に相談ください。

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